HOME » 人財育成資料室 » クレーム解決塾 » Ⅴクレーム初期対応の注意点
◆ケーススタディ2
2.さてAはB社の返信メールを受けてどのような心理でどのように対応をするのでしょうか
《パターン①》当年度をもってコンサルタント業務を解約
確かに事前相談しなかったことはまずいやり方だった。反省は必要だ。だけど、前のコンサルタントC氏の半額で契約を請け負っている。Z業務分の80万円を追加したとしても200万円だ。C氏の頃と比べて、まだ40万円も安い。それくらいB社は理解してほしいものだ。
それにZ業務は本来一社分の業務に相当するもので、80万円追加請求でも安いくらいだ。
今後も本契約120万円の据え置きで、Z業務のような煩雑な業務を追加要求されたらたまったものではない。
ここはB社が当方の要求どおり200万円を支払うというのだから、今回を最後に契約を解消することとしよう。それが賢明なやり方だ。
《パターン②》謝罪後に契約改定の条件交渉
確かに事前相談しなかったことはまずいやり方だった。反省しなければならない。B社はメールでは当年度での契約打ち切りを淡々と述べているが、心底では激怒しているに違いない。
たとえ当方としては正当な報酬の値上げであったとしても、突然の通知はビジネスの信義に反するものだった。
ここはB社に出向き、謝罪し許しを乞おう。その場で当年度の報酬額は据え置きにする旨、伝えよう。
そして来期、Z業務のような付加業務が発生する場合は、報酬の値上げについて相談させてもらえるようお願いしよう。
AはZ業務分を本契約とは別件という考えを持ってB社から引き受けました。だから追加請求することは当然だと思い込んでいました。実際に過去のこのようなケースにおいては、どのクライアントも追加請求に応じてくれていたからです。よもやB社が苦情含みのメールを送ってくるとは考えてもいませんでした。
パターン①を選ぶか②を選ぶか、結局はAの経営判断に委ねるしかありません。どちらかが絶対に正解というものではないからです。
将来を見据えB社とのビジネス関係を継続する意思が強ければ②を選ぶべきです。たとえ当方の主張が正しくてもB社に貸しを作るつもりでB社の言い分を受容することです。時にはお客様に譲歩することもビジネスの世界では有効です。
また、「これはクレームだ」と直感したら、即座に撤回の意思を示し謝罪すればお客様の怒りも鎮静しやすいものです。