HOME » 人財育成資料室 » クレーム解決塾 » Ⅱクレームの発生原因を考える
お客様からのクレーム電話を伝えられた担当者(=会社)の言い分
(会社)お客様から入電のあった日、担当者は振替休日だった。
(会社)事務員は担当者の携帯電話に連絡を入れたのだが、休みと気づき、翌日回しにした。その後お客様のお宅にそのことを伝えようと一度電話したのだが不在で連絡がつかなく、そのままにしてしまった。事務員は担当者の所属部署にクレーム内容を書面にして報告した。
(会社)翌朝出社した担当者は上長から事情を伝えられた。上長からは、「君の今までの経験を生かして、メーカーと相談しながら適切に対応するように」と指示があった。
まず担当者は、納入した給湯器メーカーの担当者にキズ・へこみに関して確認することにした。ところが午前中までに相手との連絡が取れなかった。いつまでもお客様を待たせることができないので、仕方なく午後一番にお客様にお詫びの連絡を入れた。そしてメーカーと確認ができてから訪問しますと告げ、電話を終えた。
(会社)メーカー担当者と連絡が取れたのはその翌日の夕方だった。携帯電話が故障のため通じなかったらしい。お客様には明日午前中に訪問する旨、連絡を入れた。翌日お客様宅に訪問し、追い炊き機能についてはその場で修理し使用可能にした。製品取り替え工事は2週間くらい後になる予定と伝えた。
(会社)キズ・へこみについてメーカーは同一製品の在庫がなく納品まで2週間は欲しいということだった。お客様には突っ込まれて面倒なことにならないように、ひたすら「今忙しくて…、お待たせしてすみません」で通すことにした。
帰社後、上長に「お客様は少々お怒りのようですが、なんとか収束しそうです」と報告した。上長は一言「お疲れさん」とねぎらった。
今回のケースはクレームの発生原因が明らかに販売側にあり、お客様に非が全くないものです。クレームを言う根拠となる事実が明白であって、不良品の改善を求めているものですから、言わば正当なクレームと言ってよいでしょう。
とどのつまり、「対応の仕方」のまずさが問われているわけですが… 実は今回のようなケースは決して特殊なことではないのです。対応の一つひとつは小さなことのように映りますが、この小さな「負」の積み重ねが、問題を大きくしてしまうのです。
さて、今回のケースでどこに原因があったのか、どういう対策が必要なのか、整理してみましょう。
項目 (原因) (対策)
1. お客様を待たせたこと → 初期対応の迅速性強化
2. 担当者任せの企業体質 → クレームに対する組織体制づくり
3. お客様の心情理解が希薄 → CSマインドの向上づくり
4. 担当者の態度が不誠実 → クレーム対応教育の実施
5. メーカーとの連絡不備 → クレーム発生時のメーカーとの連携強化
このような会社の場合、クレームに対し、迅速、誠実、適切に対処するためには、組織全体の課題として取り組むことが先決と言えるでしょう。